【まず思う】

日本航空の再建を担ってきた稲盛和夫さんの本が好きで、以前からよく読んでいますが、いくつかの著書の中に「まず思わなければならない」という話があります。
稲盛さんが京セラを創業したころ、当時経営の神様と言われていた松下幸之助さんの「ダム式経営」の話を聞いたとき、身体中に電撃が走るような感動を覚えたという内容です。
「ダム式経営」という話は松下幸之助さんの有名な話で、多くの方がご存知かもしれませんが、経営者の人たちへ「景気がよいときに水を蓄えておくダムのように、景気が悪いときに備えるような経営をすべきだ」という話をしたという内容です。
そのとき、ひとりの人が「ダム式経営はわかるが、今余裕がないのをどうすればいいのか、教えて欲しい」という質問に、松下さんは、「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけどそれは思わんとあきませんなぁ」とおっしゃったとのことです。
他の聴衆の方々は一同に答えになってないと笑っていましたが、稲盛さんは、「思わんとあきませんなぁ」という一言に込められた万感の思いのようになものに、心を打たれたということです。
稲盛さんは、「まず、思わなかったら、そうはならない。しかし、そうは思うが、現実には難しい」という気持ちがどこかにあると、絶対に高い目標や夢は成就しないということを、そのとき深く感じたそうです。
人は自分が信じてもいなことに努力できるわけがない。人が「どうしてもこうありたい」と強く願えば、
その思いが必ずその人の行動となって現れ、実現する方向に向かっていくということをそのとき思ったとのことでした。

経済が混沌とする世の中、大人を含めて、特に今の若者は、自分の夢や希望を持てないという話をよく聞きます。
先の見えない不安、一生懸命頑張ってもこれからの世の中どうなっていくのか不透明な時代。就職ができないという現実もそれに拍車をかけている要因でしょう。
でも、何か自分のやりたいこと、思いはどんな人にも必ずあると思います。こういう仕事や生活がしたい、こんな生き方がしたい、些細な日常生活の中のことでも、それを思うことは大事なことだと思います。

私は、仕事で企業や学生の方々、あるいは職業訓練校の受講生の方々と話をする機会がありますが、話を聞いてみると、それぞれ皆さんが、自分のやりたいことや目標を持っていることを感じます。
ただ、皆さんと話をすると、「こんな仕事したいけど、でもなぁ〜現実は無理だよなぁ〜。。。でも〜。。。」と、いう話をよく聞きます。
確かに現実を見ると私もそうですし、難しいということでしょう。
ただ、こうなりたいというその思いをどこまで持つことができるか、そこまで強い願望を持つことができるのか、それを実現させていくためどう一歩を踏み出していくのか、そこが大切なところなのかもしれません。

よく、私は皆さんに「アンテナを張ることが大切です」という話をします。、思いを持つということは、仕事や生活において常にそのことに対して「アンテナを張る」ことが大切で、つまり、常に何かを思い、意識をすることで、今まで何気なく通り過ぎていたかもしれない情報や機会をキャッチすることができることにつながるということです。
そして、その情報や機会が自分の思いとつながったとき、その方向へ進むことが必要であり大切なことだと感じます。
そのためにも、どんなに厳しい状況であっても、夢や希望を持ち続けていきたいものです。

新しい年を迎え、私自身も初心にもどり、人事・キャリアコンサルタントとして「まず思うこと」その大切さをあらためて考えていきたいと思います。
企業とそこで働く方々が少しでも夢と希望を持って働けるような世の中に、そしてそれに向かって仕事をすることで自分自身も成長していくこと。
「まず思うこと」。私自身それに向かって努力を惜しまず、今年一年精進していきたいと思います。   戸谷一彦  

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
03-6380-3816

東京都新宿区の社会保険労務士事務所「T&Kマネジメントオフィス」です。
人事労務・社会保険のコンサルタントとして労働・社会保険の手続き業務を始め、就業規則・人事の制度設計に至るまで経営者の皆様とともに人事・労務の悩みを一緒に解決いたします。