昨年の12月1日から本格的な大学新卒の就職活動がスタートしました。
例年は10月がスタート時期でしたが、今年は2ヵ月遅れとなり、学生や採用担当者にとっても例年以上に忙しい時期となっていると思います。
私もキャリアコンサルタントとして大学生や若年者対してカウンセリングをしたり、職業訓練校において、再就職を目指す方の相談に応じる機会もあり、
また、企業においても面接をはじめとする採用に関する業務を行っていますが、その際、「面接を受けるにあたっての大切なことは？」ということでよく質問を受けることがあります。
面接を受ける際の大切なこととは何でしょうか？
今回は、私が日頃感じている面接を受ける際の、大切な3つのポイントをお話したいと思います。
まず一つ目は、「第一印象の大切さ」ということです。
第一印象というと、服装であったり、面接時の視線や態度、お辞儀の仕方等色々あります。
面接では、まずノックをして面接会場に入ります。面接を受ける側も面接をする側も初めての顔合わせです。このときしっかりと面接官の目を見ることが大切です。アイコンタクトです。
そして自分の名前を言ってお辞儀をします。お辞儀も語先後礼といって、自分の名前を言ってから頭を下げるのが正しいお辞儀です。
面接をしているときは、相手の目を見て、言葉遣いに気をつけ、正しい姿勢で受け応えする。
これが第一印象です。私も面接官をしていますが、正しい挨拶や人の目を見て話したり、正しい姿勢で話すことの簡単なことができない人が多く見受けられます。
もちろん、第一印象で採用が決まるわけではありませんが、第一印象がよければその後の面接もスムーズにいくことも多いですし、面接官は、この第一印象を感じながら、その後の質問の受け応えでその人の人物像というものを確認していくことになります。
二番目の大切なポイントは、相手の言うことをしっかり「聴く態度」です。
会社によってそれぞれ求める人物像は違うと思いますが、コミュニケーションというものは、どこの会社でも求められる要素の一つになります。
面接はいわば、コミュニケーションをどう取っていくか、その機会でもあります。それにはまず、相手の言うことをしっかり聴くことが大切です。面接官の問いかけに、うなづき、あいづち、ときには笑顔で答えていますか？
面接官にとって気持ちよく話せる人は、よく人の話を聴いている人になります。面接官は面接をしているとき、この人が会社に入ったら、他の社員とうまくやっていけるだろうか、将来会社の中心となって仕事をしてくれるだろうか、という思いを持ちながら面接をしていることが多いと思います。一緒に仕事がしたいと思わせる、気持ちよく仕事ができる人かどうか、これは相手の言うことをしっかり「聴くこと」からはじまると思います。
漢字が表すとおり、「耳」と「目」そして「心」をもって、「聴く」態度が大切です。
三つ目のポイントは、皆さんが面接官に、しっかりと「自分自身の思いを相手に伝えること」が、できるかということです。
面接では志望動機や学生時代のこと、再就職や転職希望の方は過去の仕事経験等を聞かれることも多いかと思います。皆さんも事前にこういった質問に対する答えを準備していくことでしょう。
しかし、それ以上に大切なことは、なぜ自分はこの仕事がしたいのか、この会社で自分は何をしていきたいのか、将来仕事を通してどんな生き方がしたいのか。
この会社で仕事をしたいという思いを、いかに会社の人に伝えていくことができるかだと私は思います。
そのためには自分はどういう人間で、どういうことが優れているのか。学生生活や仕事を通して楽しかったこと、わくわくしたこと、大変だったけれど一生懸命頑張ったこと等、その思いをふりかえることで、これからの自分が見えてくる、いわば、自分の価値観をしっかり見つめなおすことが大切だと思います。
自分を理解し、自身の考えや思いをもつことができれば、面接で予想しなかったことを問われたとしても、自分自身のことをしっかり相手に伝えることができ、面接官もその人の価値観や考え方を理解することにつながるでしょう。
再就職や転職を希望する方の中には、希望する仕事についての経験がないことで、新しい業種、職種での就職が難しいと思われる方もいらっしゃると思います。もちろん企業として、経験者を即戦力として採用する場合も多いと思います。
しかし、経験がなくても今までの仕事の中で、大変な状況の中で頑張って、それを乗越えることができたという成功体験は、必ず次の仕事でも活きることだと思います。採用する側にとっても、その部分を知りたいと思う企業は少なからずあると思います。
これから大学生の方々は本格的な面接に入っていく時期になります。また、再就職、転職を希望される方々も企業の合同説明会に参加したり、さまざまな転職活動をしていくことになるでしょう。
マニュアル化した面接の受応えだけではなく、自分自身をしっかり見つめて、その人らしさを面接の場で発揮し、自分の夢や目標を実現する第一歩となるよう頑張ってほしいと思います。
就職氷河期と言われるこの時代、皆さんが就職、転職活動をとおして成長していけるよう、私も応援していきたいと思っています。 戸谷一彦
